発作性心房細動の発症を機に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)が見つかり,弁形成手術と心房細動に対するメイズ手術(ラディアル手術)を受け,さらに術後に発症した感染性心内膜炎の治療を受けた記録です。

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はじめての方へ:このブログの説明

2010年1月6日

  40歳をちょっと過ぎ,後厄にあたる2009年(平成21年)が始まってすぐ,発作性心房細動という不整脈が現れたことをきっかけにして,弁膜症,もっと詳しく言うと,「僧帽弁逸脱症(両尖逸脱)にともなう僧帽弁閉鎖不全症」という心臓の病気が見つかってしまいました。手術が不可避とわかった当初は,胸骨を真っ二つに切って万力のようなものでこじ開け,心臓を数時間止めて切り裂いていくという手術そのものの悪趣味さからくる恐怖と,もしかしたら手術が失敗して死んでしまうのではないかという恐怖でいっぱいでした。しかし,そんな恐怖も本やインターネットでこの病気について調べていくうちに不思議となくなっていきました。特にネット上で,同じ手術を体験した方々の書いた体験談は恐怖の解消にとても役立ちました。もしインターネットがなければ,こんなに心安らかに手術を受けるなどということは不可能だったと思います。その感謝から,恩返しにおいらもいっちょやってみるべえとブログを立ち上げてみることにしました。ネット上の体験談は,術後の回復が順調な話が多いと思いますが,私は術後の感染性心内膜炎の発症によって,幸か不幸かひとより濃厚な治療を受けることができましたので,数ある体験談の中に新たに私の少し遠回りをした体験談を付け加える意味も多少はあろうかと思っています。

  ブログを書く目的としては,このように,同じ病気でこれから手術を受ける方の参考になればというのもあるのですが,もう一つ,自分の記憶のためという面もあります。病気の発覚からそろそろ1年,手術から半年がたとうとしていますが,あれだけ鮮烈だった体験も結構忘れ始めています。せっかくの体験ですから忘れないうちに書き留めておきたいという気持ちがあります。他人のために書く文章なら簡潔にまとめなければなりませんが,簡潔に書くのは時間を大幅に食いますし,他人にはどうでもよいようなことでも自分にとっては大事ということもありますので,心にうつりゆくよしなしごとをダラダラと書き散らかすというスタイルでいこうと思っています。読みにくいかとは思いますが,悪しからずご了承下さい。

・日付はブログを書いた日ではなく,事柄が起こった日に合わせてあります。2009年2月2日(→2/2へ飛ぶ)から話は始まります。入院は2009年7月9日(→7/9へ飛ぶ),手術は7月13日(→7/13へ飛ぶ)です。
 まとめて読むためには,上部のタイトル下にあるメニュー中の「全記事一覧」を使うか,サイドメニューにある「カレンダー」で目的の月に飛ぶかすると読みやすいのではないかと思います。尚,タイトル下のメニューは「HOME」と「全記事一覧」しか使えません。残りの「Links」「Category」「Sample」はクリックしても何も反応しません。理由は私もわかりません。
 ブラウザの種類か何かの具合によっては,上部タイトル下のメニューが表示されないこともあるかもしれませんが,その場合に「全記事一覧」を見る場合には,これ↓↓↓
http://kichinheart.blog110.fc2.com/?all
をクリックするか,手動でアドレスに入れるかしてみて下さい。

・医学的な事柄についてはできるだけ正確を期するつもりではありますが,専門家ではありませんので,時代遅れの内容や誤り,記憶違いも含まれるかもしれません。くれぐれも鵜呑みにはなさらないで下さい。

・尚,本ブログ中に現れる個人名,団体名は全て仮名です。

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耐久性の向上した生体弁が来月新発売

2011年8月7日(日)

 8/5付けの日経産業新聞によると,独自の処理技術により従来よりも耐久性が向上した長もちの大動脈弁用の生体弁が,来月9月にもエドワーズライフサイエンス社から発売の見通しとのこと。
  「カーペンターエドワーズ牛心嚢膜生体弁マグナEASE TFX」という名前のウシの生体弁で,保険償還価格は97万円の予定だそう。

 「大動脈弁用」とあるが,これまでの人工弁は,大動脈弁用と僧帽弁用で違いがあったっけ?

 最近,iPSからマウスの精子を作成して,ちゃんと子供を作れたというニュースがあったが,このままいけば,自分の細胞から心臓弁を再生して,「一生もつ(自己)生体弁(当然ワーファリンフリー)」という夢のような人工弁の実現も,ひょっとしたらひょっとするかもしれない?

そして2年の月日が流れ去り

2011年8月5日(金)

 昨年の2月26日以来,1年半ぶりの経胸壁心エコー検査を,日本海大学病院で受けてきた。いつもの,レントゲン,心電図,血液検査の検査3点セットは今回はなし。前回,5/20の外来のときも,血液検査はやらなかったので,これまでやるのが当たり前のように思ってきた検査3点セットも,毎回のルーティンとしては卒業できたようだ。そう言えば,診察のときに血圧も測らなかった。

 嬉しいことに,今年から日本海大学病院でも電子カルテが導入され,エコー検査と診察が1日で済むようになった。細かい数値の解析は後でやるのだろうが,検査結果が診察室のパソコンに直ちに送られてくるので,その動画を見ながら,仁田先生の診察を受ける。画像をザッと見ての仁田先生の診断は,「全く問題なし」である。再逆流もないし,心臓の収縮も良好だそうだ。もちろん,聴診でも問題なし。

 実は,2週間ほど前に,急に涼しくなったせいなのか体調を崩し,退院後初めて,39℃を超える発熱を2日ばかりしたのだが,夏風邪にしては全くのどの痛みがなく,39℃を超えている割には辛さもほどほどで,感染性新内膜炎で再入院しているときの感じに似ているような気がし,感染性新内膜炎の再発が心配になった。3日目も熱が下がらなかったら検査してもらいに行こうと思っていたのだが,幸い,3日目に急激に下がったので,そのまま放っておいたのだが,2週間たった今でも,何となく疲れやすかったりしているので,微かな心配が残っていた。しかし,再発の兆候も全くないとのことで,その微かな心配も吹き飛んだ。

 体調を崩したこの2週間を除けば,絶好調の状態が続き,ブログの定期的な更新もしなくなったこともあり,普段は自分が心臓手術を受けたことが意識に上ってくることもほとんどなくなっているのだが,気がつけば,もう手術から2年が経過してる。手術による負の影響というものは何一つないように思えるが,ただ一つ,負ではないかも知れないが,残ってしまった影響としては,心拍数がある。心臓手術体験者の方々の話では,心拍数は術後は速めだが,1〜2年で元に戻る,というパターンが多いようだったが,2年たった今でも,まだ術前に比べると速い。とは言っても,術前は寝起きの一番落ち着いているときで60bpmだったのが,今では70bpmといった程度で,実害は全くないのだが,なんか悔しい。
 また,これは心臓手術と関係あるのかないのか分からないが,術前は,年に数回,肋間神経痛に悩まされていたが,このブログにも書いた,術後の2009/8/5に起こって以後,一度も起こっていない。もしかすると,術前は肥大した心臓が神経を軽く圧迫していたのか?

新しい人工弁

5月30日付けの日経新聞電子版によると,国立循環器研究センター医工学材料研究室の中山泰秀室長らが,新たな人工弁の技術を開発したとのこと。


アクリル製の心臓弁の型を体内に埋め込み,しばらくして型の表面をコラーゲンなどが包み込み,人工の心臓弁が形成されたところで,型を取り除く。

ヤギに移植した実験では効果が確かめられたとのこと。2〜3年後に臨床研究し,5年後の製品化を目指すという。

自分の細胞から作られるため,現在の豚や牛の生体弁よりも耐用年数が長くなる可能性があるそうだ。

大いに期待したい。

マイトラクリップ

鬱血性心不全のため入院していたエリザベス・テイラーさんがお亡くなりになった。名前くらいは知っているが,私は女優としてのこの方についてはほとんど何も存じ上げない。ただ,私の手術と同時期に心臓手術,それもはっきりと公表されているわけではないようだが,私と同じ僧帽弁閉鎖不全症の手術を受けられたというニュース
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/special/2009sainan/KFullNormal20091008077.html
があったので,記憶に辛うじて引っかかっていた。

『開胸手術ではなく、「最新の処置」による手術』ということなので,この↓YouTube動画



のように,カテーテルを用いて僧帽弁の前尖と後尖をクリップで留めてしまうという,マイトラクリップ(MitraClip)を用いた手術だと考えられているようだ。(http://www.heart-valve-surgery.com/heart-surgery-blog/2009/10/06/elizabeth-taylor-heart-valve-surgery/)

ミリ単位の繊細さが要求されると思われる開胸手術に比べると,ずいぶんと乱暴な治療法に思えるし,何だが逆に僧帽弁狭窄症の症状を呈してしまいそうな印象を受けるが,術後の中期成績は悪くないようだ。
http://teefan.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/mitraclip-evere.html

開胸手術に耐えられる体力がないときの代替手段としては良さそうに思える。

ところで,テイラーさんの「鬱血性心不全」というのは,一昨年の手術と関係あるのだろうか?



追記:2011年3月26日

この記事の題名は,最初「ミトラクリップ」としていましたが,Nanjomさんから「マイトラクリップ」と呼ぶのが一般的とのご指摘を頂きましたので,「マイトラ」に訂正しました。

Nanjomさんは,経皮的大動脈弁留置術に関わる医療器機メーカーにお勤めとのことですが,「経皮的大動脈弁留置術って何だ?」とお思いの方もいらっしゃると思いますので,経皮的大動脈弁留置術のTAVI(Transcatheter Aotic Valve implantation)の動画を張っておきます(TAVIは様々な経皮的大動脈弁留置術の一つなのかもしれませんし,経皮的大動脈弁留置術の総称なのかもしれませんし,今のところ,経皮的大動脈弁留置術と言ったらこの方法しかないのかも知れません。そこら辺はよく分かりません。また,動画のタイトルにある「Implementaiton(実行)」は「implantation(移植)」の誤植だと思います)。動画を見て判断する限りでは,大動脈弁狭窄症に対し,カテーテルで折り畳まれた人工大動脈弁を狭窄した大動脈弁の所に持って行き,そこで人工弁を膨らませて狭窄した大動脈弁を押しつぶし,人工弁を留置するという大胆な治療法のようです。

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