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発作性心房細動の発症を機に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)が見つかり,弁形成手術と心房細動に対するメイズ手術(ラディアル手術)を受け,さらに術後に発症した感染性心内膜炎の治療を受けた記録です。

役立った本・サイト他

今回の治療に関係して役立ったと思われる本などの品々を挙げておきます。
★・・・・そこそこ役立った
★★・・・普通に役立った
★★★・・とても役立った
★★★★・特別に役立った

尚,amazonの商品広告をクリックすると,その商品を説明する頁に飛びますが,自動的に買ったことになったりはしませんのでご安心下さい。


(1)不整脈関連

★★「不整脈これで安心」明石誠編著 小学館 2002年
 予備知識のない人が最初に読むのに適していると思う。第1章では,数ある不整脈の中から特に「WPW症候群」「心房細動」「心室頻拍」「心室性期外収縮」の4つの不整脈を取り上げ,各不整脈を持つ人を主人公にした物語仕立てで解説しているので読みやすい。2章以降では普通のやり方で詳しく解説している。出版年がやや古いが,不整脈の一般的なことを知るためには問題ないと思う。

★★★「ナースための早引きモニター心電図ハンドブック」山科章監修 ナツメ社 2006年
 題名通り,モニター心電図の波形が豊富に掲載されている。次に紹介する携帯心電図計と一緒に持っていれば,不整脈が出たときに大体のことは判断できる。もちろん,最終判断は医師に委ねるべきだが。

★★★「オムロン携帯型心電計」
 不整脈は,たとえ24時間のホルター心電図をつけたとしても,そういうときに限って出てこなかったりすることもある。携帯心電図計があれば,不整脈が出たときに記録しておいて,後で医師に見せれば,危険なものか放置して良いものか,精度が粗いといえども大概判断出来る。慣れれば,上のモニター心電図ハンドブックと見比べて,素人でもおおよその判断はつくが,素人判断は危険なので,医師の判断を仰ぐべきである。




(2) 弁膜症及び感染性心内膜炎関連

★★★★「新・心臓病診療プラクティス9 弁膜症を解く」山本一博・別府慎太郎編 文光堂 2007年
 最も役に立った本。専門書なので最初は分からない所も多いが,分かる所だけ拾い読みしていけば,段々分かるようになる。多くの医師の解説の寄せ集めなので,内容に重複する部分も多いが,そこがまた素人にはかえって分かり易い。

★★「弁膜症患者の非薬物治療に関するガイドライン」
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_matsuda_d.pdf
 日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会の合同研究班によるガイドライン。上の「弁膜症を解く」があれば必要ないが,こちらはネット上でタダ。

★★「徹底図解 不整脈と心臓病」伊東春樹監修 法研 2004年
 総花的に簡潔に色々なことが書いてあるので,最初に読む本として良いと思う。

★★「医者がすすめる専門医 vol.29 心臓弁膜症」解説:中野清治 BS-i 東放制作 2005年
 これは本ではなくてDVD。題名を見ると病院紹介物と勘違いしそうだが,弁膜症という病気を「医者がすすめる専門医」が解説していくという内容。手術の動画が見たくて買ってしまったが,手術場面はごくわずかで全く期待はずれ。解説もド素人向けで,得る物が何一つないという珍しい買い物をしてしまった。しかし,このDVDが悪いわけではない。出逢うのがほんのちょっと遅かっただけ。弁膜症についてある程度勉強した後でこれを見たので,すでに知っていることばかりだったのだが,一番初めにこれを見たら,すごく分かり易くて役に立ったと思う。私には星0だったが,最初に見ていたら星4つの評価になったかも知れない。間をとって2つ星。

★★★「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン 2008年改訂版」
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_d.pdf
 日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本小児循環器学会,日本心臓病学会の合同研究班によるガイドライン。上の「弁膜症を解く」にも感染性心内膜炎のことはそれほど詳しくは書いていないので,これが重宝する。




(3) 医療事故関連

 なにも手術前に医療事故の本など読まなくても,と思われるかもしれないが,私の場合は,最悪の事態を知っておいた方が落ち着ける。それに,医療事故関連の本を読むと,大体の手術の流れ,様子が分かる。

★「大学病院でなぜ心臓は止まったのか」読売新聞社会部 中央公論社 2006年
 私が弁膜症関連で初めて読んだ本。たまたま本屋で目についた。2002年10月から2004年1月の1年あまりの間に,4人の弁膜症患者が相次いで手術死をとげた事件を取り上げている。弁膜症の経験が浅く,腕の未熟な医師に執刀を続けさせた理由として主任教授が取材に答えて言った「トレーニング」という言葉が非難を浴びた。医師のトレーニングのために患者を殺すのはもっての他だが,トレーニングをしなければ外科医は育たない。しかし,患者としては,盲腸程度ならまだしも,心臓手術でトレーニング台にはなりたくない。この矛盾をどう解決するのかという所までは踏み込んでいない。

★★「明香ちゃんの心臓 <検証>東京女子医大病院事件」鈴木敦秋著 講談社 2007年
 2001年3月に東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所(心研)で,心房中隔欠損症の手術を受けた平柳明香ちゃん(当時12歳)が医療事故で亡くなった事件(東京女子医大事件→ウィキペディア)についての本。事故後,ミスを隠すため,カルテ改竄を首謀した医師が証拠隠滅,人工心肺を操作していた医師が業務上過失致死の疑いで逮捕された。その後の裁判の結果,カルテの改竄をした医師は有罪,人工心肺の操作をしていた医師は無罪が確定した。ただ,私の関心を一番引いたのは,本題の医療事故の話よりむしろ,戦後日本の心臓外科の頂点に長く君臨していた女子医大心研と,その創設者にして,現在手術数日本一の榊原記念病院にその名を残す榊原仟(しげる)氏の話だ。私が今日,日本で安全に心臓手術が受けられるのも,この人の貢献による所も大きいと思う。この人の歩みを見れば,戦後日本の心臓外科の歩みがわかる。
 中でも印象的な次のようなエピソードがある。ファロー四徴症という先天性の心臓病に対する根治的手術の手術死亡率は, 1960年代には心研でも40%近くあったという。さすがに死亡率が高過ぎるので,心研の医師達も,根治させることはできないが100%近くの成功を見込めるブラロック・トーシッヒ手術という,より簡単な手術を多用した時期があったという。これを知った榊原は烈火のごとく怒り,医局員全員をあつめてこう言う。「心研は世界と業績を競っている。(中略)心臓外科の発展は尊い命を犠牲にし,屍を乗り越えた結果なのだ。ファロー四徴症も例外ではない。明日からはブラロック・トーシッヒ手術を全廃し,全て根治的手術を行ってほしい。」
 例え根治手術を受けて手術死をしたとしても,何も情報を持たなかった当時の親たちは,日本一の病院で手術をして駄目だったのだからと諦めたのだろう。医療にかかわる利害関係者としては,患者と医師と未来の患者の三者がいると思う。このうち,医師と未来の患者の利害関係はほとんど常に一致すると思うが,医師と現在の患者の利害関係は必ずしも一致するとは限らない。
 現在,ファロー四徴症の手術死亡率は2%台だそうだ。

★★「ルポ 医療事故」出河雅彦著 朝日新聞社 2009年
 上の2件の医療事故を含む9件の医療事故と時津風部屋の力士死亡事件その他の死亡事故まで扱っている。上記2冊が被害者寄りの視点で書かれているのに対して,もう少し中立的な立場で淡々と簡潔に書かれている。




(4)心臓手術関連

★★「図説成人心臓外科 手術を究めるII 弁膜症の外科/冠動脈外科」 川副浩平編 メジカルビュー社 2009年
 手術の動画に関して,上記「医者がすすめる専門医 vol.29 心臓弁膜症」が全くの期待はずれでガッカリしていた頃,本屋でDVD付きのこの本を見つけてしまった。ただ,この本は外科医のための手術指南書で,素人が読んでも得る所は少なそうだし,バカ高いので,一度は購入を諦めたが,何度か本屋で立ち読みをしているうちに購買衝動を抑えきれなくなって買ってしまった。現状では,値段に見合うだけの消化はできておらず,宝の持ち腐れであるが,もし将来,再手術が必要となったときには,その時代の2009年からの手術手技の進歩がわかるはずなので,無駄な買い物ではなかったと自分に言い聞かせている。
 ただ,心臓手術の動画を見たいだけなら,YouTubeにたくさんあるのだが,当時は気がつかなかった。
 ちなみに,私は手術場面を見るのが苦手で,今でも,例えば美容整形の脂肪吸引だとか皺取りの場面を見るとキ●●マが縮み上がるが,なぜか心臓手術だけは見ても平気である。侵襲が激しすぎて,もはや心臓が「モノ」にしか見えないためであろうか?

★★僧帽弁形成術のYouTube動画


★★「実践 人工心肺」南淵明宏著 茨城保:絵 医学書院 2002年
 医学書としては少し古い気もするが,人工心肺については,素人にも分かりそうな本は,私が見た限りではこの本しかなかった。主に,人工心肺を操作する臨床工学技士のために書かれた本で,漫画を用いて,冠動脈バイパス術の際に人工心肺にどうつなげるかが説明されていて分かり易い。

★★「心臓手術後の生活ガイド」渡橋和政著 保健同人社 2008年
 題名の通り。手術前は,手術後の回復の仕方が気になるものなので,その一応の目安を与えてくれる。

★★「心臓手術 私の生還記」石岡荘十 文藝春秋社 2004年
 心臓手術体験記は,ネット上にはたくさんあるが,書籍の形で出版されているのは珍しい。大動脈弁狭窄症のための弁置換手術に「生還記」という大袈裟(であるかもしれないとは著者も前書きで認めている)な題をつけていたので,初めは,独りよがりに舞い上がった内容を予想し,全く期待しないで読み始めたのだが,元NHK報道局勤務の著者はレセプトの開示請求までして医療行為の再現を試みるなど,プロらしい取材力を発揮してくれており,参考になった。




(5)病院・医師選びの本

 2/13の日記にも書いたが,この手の本はどれも半分は嘘と思っているが,本屋で様々な本を片っ端から立ち読みしていった結果として浮かび上がる最大公約数的イメージは,そこそこ正しいのではないかと思っている。目を通した本の中で記憶に残っている物をいくつか挙げる。

★★「手術数でわかるいい病院2009」朝日新聞出版 2009年
★★「病院の実力2008秋」読売新聞社 2008年
 この2冊は,単純に手術数で病院をランキングしている。「新聞や週刊誌は場当たり的ともいえる目的で情報を一方的に収集し,信頼線の担保もないまま,病院ランキングを初めとし,手術数でもってあたかも評価するような格好で公表してきています」という非難の声明が医学会から発表され,取材が困難を極めるようになってきているそうだ。確かに手術数「だけ」で判断するのは愚かだが,手術数が判断基準のひとつになることも確かだろう。それに編集者の根拠不明の勝手な主観で選ばれるよりも,手術数という単純な数字を列挙してくれた方が,判断材料のひとつとしては有益だと思う。要は使い様なので,医師の側も堅いことを言わずに,取材に協力してもらいたいと思う。

★★「医者がすすめる専門病院」中村康生編 ライフ社 2009年
 執刀医を指名可能かどうかが書いてある。その他にもセカンドオピニオン受入可か,主治医指名可か,初診予約可かなども。

★「最強ドクター 治せる!108人」伊藤隼也著 扶桑社 2007年
 病院でなく医師個人を推薦するという点で異彩を放つ。著者がピックアップしたのが33人+1人。プラスの1人は番外編として,学内のゴタゴタから一時メスを置いていた米田正始医師(当時京都大学,現名古屋ハートセンター,大和成和病院)。さらにこの33人が推薦した75人を加えて108人となる。スーパードクター達の手術中のカラー写真をふんだんに用いて,さながら心臓外科医,循環器内科医のアイドル写真集といった趣。著者と南淵明宏大和成和病院院長は仲が良く,この本でも二人の対談に多くの頁を割いている。人選は33人+1人中,米田医師を含めて5人が大和成和病院の医師である。私情を隠さないのはかえって潔い。写真に大きなスペースを割いているので,文字による情報は意外に薄い。例えば,生涯症例数2万例(毎日休まず3例ずつ手術しても18年以上かかる!)という南和友医師は当然のごとく掲載されているが,南医師はオフポンプでの冠動脈バイパス術に否定的な見解を持っていて,オンポンプで手早く手術する方が良いという考え方である。これぐらいのことは書いておいてほしかったが書いていない。




(6)インターネットホームページ

 ネット上の体験記がどれも非常に役立ったことはこのブログの「はじめに」でも書いた通りだが,数が非常に多く,しかもこのブログを含めて日々増え続けているので,全てを挙げることはできない。特に役立ったブログとしてカムバックハートさんのブログを一つだけ挙げておく。
★★★★「心臓手術体験記(僧帽弁閉鎖不全症形成術)」
http://comebackheart.blog14.fc2.com/

★★★★「たけしの部屋」
http://sinzobyo.com/
 言わずと知れた心臓病の掲示板。

★★★★「心臓手術の広場」
http://www.geocities.jp/shin_zou_geka/
 エビデンスに基づいた説明が詳しい。更新が止まってしまったのが非常に残念。

★★★「弁膜症サイト」
http://www.benmakusho.jp/
「弁膜症」で検索すればトップにくるので,弁膜症ネットユーザーの誰もが最初に見るサイトではなかろうか。2010年2月1日に久々の更新があった。

★★★「人工弁.com」
http://www.jinkouben.com/index.htmlhttp://www.jinkouben.com/index.html
 弁置換後の患者の体験談が参考になる。

★★★「まえだ循環器内科」
http://www.m-junkanki.com/index.html
 心臓内部を様々な角度から見たアニメが,心臓の構造を理解するのにとても役立った。

★★★「ハート先生の心電図教室」
http://www.cardiac.jp/view.php?target=af_af.xml&lang=ja&flipmode=0
 アニメで不整脈の様子と心電図を対応させて見せてくれる。

★★★「半蔵門循環器クリニック」
http://homepage3.nifty.com/hanzoumon-clinic/
 「話題」と「手術について」が面白い。

★★「弁膜症センター」
http://web.me.com/sawamasa/ValveCenter/ValveCenter.html
 アニメと手術動画

★★「心エコー検査に頻出する英単語」
http://square.umin.ac.jp/kennsa/echocardiography/text/english.html
 循環器系の略号をまとめてくれている

★★「開心術について」
http://www.ne.jp/asahi/sw/luke/openHeartsurg1.htm

★★「日本心臓財団のセカンドオピニオンQ&A」
http://www.jhf.or.jp/opinion/index.html

★★「岩手医大心臓血管外科講座」
http://www.cvs-iwatemed.jp/syoukaii/sinryou/02.htm
 手術動画を公開している。

★★「心臓外科医のひとりごと」
http://ctsurg.exblog.jp/
 米国で心臓外科医として働く日本人のブログ。現在更新停止。


(7)その他

★「聴診器ブック」
 本屋で買える聴診器。心雑音は大学病院の内科初診時に聴診器で聞かせてもらったが,よくわからなかった。自分で買って落ち着いて聞いてみると,そう言われてみればばそうかなあという程度。術前の音を録音できれば術後の今と比較できるただろうが,それもできないので,何となく術後の現在の方が乾いてキレのある音に感じられるという程度。下に示した音源ほどはっきりした雑音なら私でも分かるのだが。

正常な心音


僧帽弁閉鎖不全症の心音


僧帽弁狭窄症の心音


大動脈弁閉鎖不全症の心音


大動脈弁狭窄症の心音



★★★タニタ 電子脈拍計
術後は1年くらい脈が速いという事もよく聞く。術後に脈拍を制限しながらリハビリに励むということもあると思う。この脈拍計は歩きながらの測定は出来ないが,ちょっと立ち止まれば数秒で正確に計測してくれる。



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