10月27日(火) 再入院64日目 手術後106日目
36.6℃~37.0℃
明日の退院を控え,夜,退院前に角井先生から説明を受ける。普段,病室に診察に来てくれているときにも質問はしていたが,何しろ角井先生も多くの患者を抱えて猛烈に忙しそうなので,不要不急の質問は「後でいいや」と遠慮していたら,聞きたいことが溜まってしまっていた。そこで,少しまとまった時間をとってもらえるようにお願いしておいたのだ。「大学病院では,情報は自分から積極的に取りにいかないと,黙っていても与えられるとは限らない」というのは前回の外科入院で学んだ貴重な教訓である。本当は昨日の予定であったが,昨日は,急患か容態の急変した患者さんがいたらしく,1日延期となった。
ナースステーションの一角の小さな部屋で説明を受ける。感染性心内膜炎については,エコー画像を時系列で見せてもらうが,僧帽弁の心室側についている疣贅が時間がたつにつれて,白っぽかったのが黒くなっていったのか,黒っぽかったのが白くなっていったのか忘れたが,兎に角,色が変わっていったのは分かる。しかし,疣贅がなくなったとか,小さくなったという感じはしない。色が変わっていったのが,疣贅が器質化(→
10/9の日記),すなわちカサブタのように瘢痕化していることを示しているそうだ。疣贅(=イボ)と言うくらいなのだがら,たとえば
ココ(http://www.treatneuro.com/archives/1976)のエコーの図のように,小豆のようなハッキリとしたふくらみがあるのかと思っていたが,私の場合にはそのような明瞭な出っ張りは素人目には見られず,弁全体がちょうど甘食のような形で中央部分が膨らんでいるように見えるといった程度だ。この程度の状態で抗生剤治療を始めたおかげで,手術を(今のところ)免れたのだろうが,疣贅がエコー図で消えてなくなったわけではないというのはスッキリしない感じだ。しかし,後で調べてみると,
また抗生剤治療後の疣贅の大きさの変化は、縮小39%、不変47%、増大14%であったとの報告があります。
http://blog.livedoor.jp/chibanishi_artery/archives/647700.html
とのことなので,大きさが変わらないのは,むしろ普通のことのようだ。ただ,上に上げたサイトの記述からは,「抗生剤治療後」というのが,治療成功を意味しているのか,失敗例を含めているのかは不明だが。
気になるのは,抗生剤治療が終了して1週間がたっても結局,最低1日1回の37℃越えという状態の改善はなされなかったことだ。ここ数日は,それでも37.0℃~37.1℃くらいに落ち着いていて,気分も悪くはないが,相変わらず手の平は37.5℃くらいあって熱い。再入院時の主な自覚症状は微熱(手の平は猛烈に熱い)と怠さであったが,微熱という点では全く改善されていない。ただ,手術によって体質が変わって,37℃が平熱になったというなら,元々低体温で風邪を引きやすい体質だったので,かえって喜ばしいが,問題は怠さが消えたかどうかである。寒気はしないし,怠さの点では大いに改善されたような気もするが,家と一日中寝ている病院とでは感じ方が違うので,良くなったと断言できる自信はない。本当に大丈夫なのだろうか?
これに関しては,角井先生は以前(→
10/13)と同じく,1日3回の病院側の定時測定以外は見ないという。37℃越えというのは,夜の21時頃に出ることが多く,私がマイ体温計で勝手に測ったものであるから,これを見ないと言うことは,私は現在,微熱もなくなっているということになる。そんな理屈はないだろうと思うが,まあ,医学的には37℃ちょっとの体温など正常範囲内であるということは理解できるので,医学の教科書に載っていない症状についてはこれ以上聞かないことにする。
また,再発の可能性についても
「心の隅に,というよりも,もう少し手前の方に,置いておいて下さい」
と言われた。慎重な角井先生らしく,
「もう,大丈夫」
と手放しで言い切っている仁田先生とは大分ニュアンスが違うが,あまり「大丈夫」とばかり言われても,かえって不安になるので,こう言ってもらえた方がなんとなく安心できる。さらに,
「次に再発したら,外科処置しかありません」
と言われる。それは十分承知している。しかしこの時点では,CRPの値が大して高くなかったことや,血液培養の結果が,外科入院時の1回を除いて全て陰性だったことなどから,私自身は「本当は感染性心内膜炎ではないのではないか?」という疑念を拭い切れていなかった。(もちろん,感染性心内膜炎が一番怖いので,その前提で治療を受けることには何の異存もない。)CRPがそれ程信頼できる指標でないことや,感染性心内膜炎であっても血培陰性ということは珍しくないことなどを知ったのは,退院後,色々調べた後のことである。なので,仮に退院後,再入院前と同様の体調不良を感じたとして,
「じゃあ,手術しましょう」
と言われても
「はい,そうですか」
と即座に受け入れる気にはなれない。その場合には,他の病気の可能性を調べるため,他の病院にセカンドオピニオンを求めようと思っているので,その際の検査データやカルテの貸し出しの了解はもらっておいた。
腎機能障害については,現在私の腎臓は,健康時の60%しか働いていないそうだ。元に戻るかどうかは今のところ分からないという。60%というのはかなりショッキングな数字だ。しかし,それでは何か食事制限があるのかと聞くと,現在はまだそこまでしなくても良いという。とりあえず,食事制限なしと聞いて喜んだが,後で考えると,60%という数字から受ける深刻なイメージとのギャップで頭の中が???になってしまった。退院してもしばらくはラーメンを控えてみるか。
クレアチニンは,昨日の値で1.21mg/dl(前回は1.24mg/dl)と少し下がって,1.20mg/dl以下という正常値にあと少しとなったが,
「この程度の減少は,特に喜ばしいことではないんですよね?」
と尋ねると
「そうですね」
とのこと。私の場合,問題なのは値そのものではなくて,短期間に倍になってしまった,という変化の方なので,0.03mg/dl程度の違いは誤差の範囲なのだろう。
また,先週の木,金にかけてとったホルター心電図の結果はまだ返ってきていないとのこと。大学病院なら,ホルター心電図の解析は自前でできるのかと思っていたので意外だったが,専門の機関でやるようだ。
インフルエンザの予防注射は受けても良いとのこと。元々インフルエンザワクチンの効果には懐疑的で,大人になってからは一度も受けていないが,今年の冬だけは何としてもインフルエンザに罹りたくないので,たとえ1%でも感染確率を下げられるならやっておこうと思い,この入院中に,新型用のは無理にしても,季節性用のだけでも受けられたら受けておこうと思っていたのだが,大学病院(特定機能病院)ではインフルエンザワクチンの接種は行わないらしく,退院後,町医者へ行って受けなければならないということ。それなら,わざわざインフルエンザウィルスの蔓延している町医者にのこのこ出かけていって,ウィルスをもらってくるリスクを上回る利益をインフルエンザワクチンから得られるとは思っていないので,例年通り,予防接種は受けないことにした。
そんなこんなで,30分強の説明だった。
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