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発作性心房細動の発症を機に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)が見つかり,弁形成手術と心房細動に対するメイズ手術(ラディアル手術)を受け,さらに術後に発症した感染性心内膜炎の治療を受けた記録です。

iPS細胞で「心臓のような」組織の作成に成功

2014年3月6日(木)

iPS細胞から「心臓のような」拍動をする組織の作成というと,どうしても,あの森口尚史氏を思い出してしまうし,話題のSTAP細胞もなんだか雲行きが怪しくなってきているが,このニュースはおそらく確実なものだろう。悪いニュースが続いていた東京女子医大にとっても久しぶりの明るいニュースではないか。

東京女子医大の清水達也教授らの研究グループが,iPS細胞を用いて,長さ2cm,直径3mm程の筒状の,心臓のように拍動する組織にまで培養したという。
→NHKニュース
「将来は,心臓を補助するポンプとして,血管に移植するなどの治療法ができないか研究を進めたい」というコメントが,上記サイトに書いてあったが,「血管に移植する」というのがよくわからない。血管を拍動させるのか? 動画で話している清水教授のコメントは「心臓のポンプ機能を補助したり,将来的には代替してしまうようなものを,まだまだ時間かかりますけども,そういうものを目指してやっていきたいと…」
というものだった。

結構ビッグニュースのように思うのだが,報じているのはNHKだけ?
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耐久性の向上した生体弁が来月新発売

2011年8月7日(日)

 8/5付けの日経産業新聞によると,独自の処理技術により従来よりも耐久性が向上した長もちの大動脈弁用の生体弁が,来月9月にもエドワーズライフサイエンス社から発売の見通しとのこと。
  「カーペンターエドワーズ牛心嚢膜生体弁マグナEASE TFX」という名前のウシの生体弁で,保険償還価格は97万円の予定だそう。

 「大動脈弁用」とあるが,これまでの人工弁は,大動脈弁用と僧帽弁用で違いがあったっけ?

 最近,iPSからマウスの精子を作成して,ちゃんと子供を作れたというニュースがあったが,このままいけば,自分の細胞から心臓弁を再生して,「一生もつ(自己)生体弁(当然ワーファリンフリー)」という夢のような人工弁の実現も,ひょっとしたらひょっとするかもしれない?

新しい人工弁

5月30日付けの日経新聞電子版によると,国立循環器研究センター医工学材料研究室の中山泰秀室長らが,新たな人工弁の技術を開発したとのこと。


アクリル製の心臓弁の型を体内に埋め込み,しばらくして型の表面をコラーゲンなどが包み込み,人工の心臓弁が形成されたところで,型を取り除く。

ヤギに移植した実験では効果が確かめられたとのこと。2~3年後に臨床研究し,5年後の製品化を目指すという。

自分の細胞から作られるため,現在の豚や牛の生体弁よりも耐用年数が長くなる可能性があるそうだ。

大いに期待したい。


2012年10月21日 追記:
上の記事より詳しい記事がだいぶ後になってから読売新聞に出ていたらしい。上の記事では「耐用年数が長くなる」可能性に言及するに留まっていたが,読売の方では「生涯使える可能性」に踏み込んでいる。元の読売の記事はもう見られなくなっているので,2chから孫引きしておく。
(ところで,iPSによる心筋再生手術の捏造騒動もあったが,再生医療というと心筋の再生ばかり話題に上る。心臓弁のiPSによる再生という研究はなされていないのだろうか? 筋肉より簡単なような気がするのだが…)

〜〜〜(読売記事の2chからの孫引)〜〜〜
★皮膚細胞で心臓大動脈弁、ヤギで成功…子供治療に道

 皮膚細胞で作った人工の心臓大動脈弁を移植することに、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が世界で初めて、ヤギで成功した。

 人間とほぼ同じ大きさのヤギ(体重50キロ)の大動脈弁は、1か月経過した7日も正常に動いている。従来の人工弁が使えない子どもなどの治療に道を開く成果として注目される。

 血液の逆流を防ぐ大動脈弁に異常がある心臓弁膜症などの患者には、弁を金属などで作った機械弁や、動物の心臓を加工した生体弁に置換する手術が行われる。

 手術は毎年約1万件あるが、機械弁は血の塊ができやすい上、成長につれて心臓が大きくなる子どもには不向き。生体弁も約15年で劣化し、再手術が必要という欠点がある。

 同センターの巽英介・人工臓器部長と中山泰秀室長らは、心臓弁と同じ線維芽細胞の多い皮膚細胞の再生力に着目。アクリル樹脂で大動脈弁の型を作り、ヤギの背中の皮膚下に埋め込んだ。

 1か月後に皮膚細胞が分泌したコラーゲンが型を包み込むように固まり、直径2センチ、厚さ0・5ミリの弁ができた。ヤギの心臓に移植し、今も正常に動く。

 同じ手法で作ったイヌの肺動脈弁は、3か月で心臓とほぼ一体化。肺動脈弁より高い圧力がかかる大動脈弁の作製は難しいとされるが、巽部長は「ヤギの大動脈弁も心臓と一体化している可能性がある。そうすれば生涯使える」と話す。

(2010年8月8日03時23分読売新聞)

▽ソース
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100808-OYT1T00050.htm

マイトラクリップ

鬱血性心不全のため入院していたエリザベス・テイラーさんがお亡くなりになった。名前くらいは知っているが,私は女優としてのこの方についてはほとんど何も存じ上げない。ただ,私の手術と同時期に心臓手術,それもはっきりと公表されているわけではないようだが,私と同じ僧帽弁閉鎖不全症の手術を受けられたというニュース
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/special/2009sainan/KFullNormal20091008077.html
があったので,記憶に辛うじて引っかかっていた。

『開胸手術ではなく、「最新の処置」による手術』ということなので,この↓YouTube動画



のように,カテーテルを用いて僧帽弁の前尖と後尖をクリップで留めてしまうという,マイトラクリップ(MitraClip)を用いた手術だと考えられているようだ。(http://www.heart-valve-surgery.com/heart-surgery-blog/2009/10/06/elizabeth-taylor-heart-valve-surgery/)

ミリ単位の繊細さが要求されると思われる開胸手術に比べると,ずいぶんと乱暴な治療法に思えるし,何だが逆に僧帽弁狭窄症の症状を呈してしまいそうな印象を受けるが,術後の中期成績は悪くないようだ。
http://teefan.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/mitraclip-evere.html

開胸手術に耐えられる体力がないときの代替手段としては良さそうに思える。

ところで,テイラーさんの「鬱血性心不全」というのは,一昨年の手術と関係あるのだろうか?



追記:2011年3月26日

この記事の題名は,最初「ミトラクリップ」としていましたが,Nanjomさんから「マイトラクリップ」と呼ぶのが一般的とのご指摘を頂きましたので,「マイトラ」に訂正しました。

Nanjomさんは,経皮的大動脈弁留置術に関わる医療器機メーカーにお勤めとのことですが,「経皮的大動脈弁留置術って何だ?」とお思いの方もいらっしゃると思いますので,経皮的大動脈弁留置術のTAVI(Transcatheter Aotic Valve implantation)の動画を張っておきます(TAVIは様々な経皮的大動脈弁留置術の一つなのかもしれませんし,経皮的大動脈弁留置術の総称なのかもしれませんし,今のところ,経皮的大動脈弁留置術と言ったらこの方法しかないのかも知れません。そこら辺はよく分かりません。また,動画のタイトルにある「Implementaiton(実行)」は「implantation(移植)」の誤植だと思います)。動画を見て判断する限りでは,大動脈弁狭窄症に対し,カテーテルで折り畳まれた人工大動脈弁を狭窄した大動脈弁の所に持って行き,そこで人工弁を膨らませて狭窄した大動脈弁を押しつぶし,人工弁を留置するという大胆な治療法のようです。

心房細動患者の脳卒中を防ぐワーファリンに代わる新薬

心房細動患者の脳卒中発症を抑制する商品名「プラザキサ(R)」(一般名:ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)という新薬が日本で承認されたそうです。
http://www.qlife.jp/square/news/story17998.html

血栓を作る中心的酵素であるトロンビンを阻害する働きがあるそうです。

ワーファリンよりも梗塞リスク,出血リスクともに下げ,ワーファリンのように定期的に細かく服用量を調節をする必要もなく,食物の影響を受けない(納豆もOKということか?)とのことなので,いいことずくめのような。

ただ適応は,非弁膜症心房細動患者だそうです。
ワーファリンよりも血栓を作らせない働きが強いなら,弁膜症手術後の患者や,弁膜症を原因とする心房細動患者にも使えそうな気がしますが,なぜダメなんでしょう?


追記:2011年6月26日

その後,ブラザキサ(ダビガトランエテキシラート)には,重篤な副作用が報告されて,製薬会社から注意が喚起されている。(2011年6月20日付)

腎障害を有する高齢の患者において重篤な出血性の副作用が3例(死亡1例,意識不明1例,軽快1例)報告されたそうだ。3例とも80歳台の高齢者のようだ。


追記:2011年8月15日

その後,プラザキサの副作用が原因と疑われる死亡例が,8月11日までにさらに4件報告され,合計5件となったそうだ。(厚労省による注意喚起)5件のうち,70歳代1名,80歳以上4名。性別は,男性1名,女性4名。腎不全の患者が1名。

他に76件の重い出血例も報告されているという。

すでに,推定6万4千人がこの薬を使っているそうだが,厚労省は今後は投与に当たって,腎機能検査を行うよう指導したそうだ。腎臓の機能が低下していると、排せつされずに血液中の濃度が高まり、出血した場合に血が止まりにくくなるらしい。

患者の側にも,鼻血,歯茎,皮下,尿,便などに出血が見られた場合には,速やかに医師に報告することが求められるとのこと。

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