6月25日
外科外来。まず血液検査をして,
貯血出来る血の濃さがあるかどうか確かめる。これ以前の問題として,心不全症状があったり,細菌感染していたりすると
貯血は出来ないみたい。血液検査の結果が出る間に
肺機能検査。
肺機能検査室に通じる廊下には女の人の叫び声が響いていた。怪我の治療か何かの激痛から患者が悲鳴をあげているのかと思ったが,実際は,
肺機能検査をする女性検査技師が,「ハイッ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!」と患者に指示する掛け声だった。
肺機能検査といっても実際には肺活量測定のことで,なるべく速く一気に息を吐き出して呼気のスピードを測るのと,ゆっくり吐き出して呼気の量を測るのと2種類の方法で測定する。肺活量の測定など高校の体力検査以来だが,測定器は学校にあったような原始的な作りのものではなく,もっと高そうな機械につながっている。うら若き検査技師が羞恥心をかなぐり捨て,空気を切り裂くような大声で「大きく息を吸って~~吸って~~吸って~~吸って~ハイッ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!吐いてっ!」と叫ぶので,その魂魄の気合いに押され,こちらもついむきになって息を吐き出す。そのわりには,肺活量は4600ccだった。高校時代は5000ccは超えていたような気がするが,歳をとったなあ。
肺機能検査から帰ってくると,血液検査の結果も出ていて,問題なしということで400ccの
貯血を始める。400ccと言えば,献血の一回量と同じだが,チキンな私は200ccの献血しかやったことがなく,しかも,例のBSE(狂牛病)騒動で献血制限対象に引っかかって以来,一度もやっていない。つまり400ccの血液を一気に失うのは生まれて初めてだ。ただ献血と違うのは,400ccの輸液の点滴をしながら血を抜くところである。血の代わりに塩水を入れておくと心臓の負担を減らせるようだ。血抜き用の針はかなり太いのだが,準備しているとき,若い先生が「針は○○を使うの? 俺,この針苦手なんだよなー」と言っているのが聞こえる。医師にも得意な針と苦手な針があることをこの時初めて知る。やはり苦手だったのか,針刺し失敗。「ホントご免なさい。腕がちょっと腫れちゃうかもしれませんけど。」と言っていたが,実際結構腫れた。そんなに痛くはなかったが。2度目の針刺しには成功し,
貯血自体は20分くらいで終わったと思うが,輸液の点滴に1時間以上かかってしまう。途中,増血剤の注射。来週,もう1回
貯血して,その次の週には入院,手術の予定だが,1週間で400ccくらいは増えるようだ。手術直前に
貯血してしまったら,肝心の手術時に血が少なくなっているのではないかなどという心配はいらない。逆に自己血の脱血刺激により,骨髄の造血能が増強され,術後の貧血の回復も早くなるそうだ。貯血後の行動制限は当然何もなし。
その後,頭部と胸部の
CT検査。造影剤も使わず,ただ寝そべっているだけの検査で,ほとんど何も印象に残っていない。
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