11月2日(月) 退院後5日目
心配していた微熱だが,相変わらず,いまだに夜には37℃を超える。しかし退院翌日には,「これは大丈夫だな」と思えた。なぜなら,全然辛くないからだ。1度目の退院の時とは明らかに違うことは,同じ条件の家に帰ってきて確信できた。37℃を超えても,検温しなければ気がつかない程だ。寒気なども全くない。手の平もまだ温かくて気持ち悪いが,再入院前の熱さに比べれば大したことはない。
二ヶ月以上(最初の入院から数えれば4ヶ月近く),ほとんどベッド上で過ごしてきたので,体力がガタ落ちしていて,すぐに疲れてしまうが,その疲れも変な疲れではなくて,普通の,寝れば治るような疲れである。
最初の退院の時は,仕事復帰の予定日まで二週間ちょっとしかなく,気持ちが焦っていて,退院翌日からリハビリとしての散歩を始めたが,今回は来月まで仕事の予定はなく,焦らずボチボチ体力の回復に努めるつもりだ。
しかし考えてみると,前回の退院時には,焦っていて本当に良かったと思う。これがもし,今回のように余裕のスケジュールだったら,体調が悪いのも「日にち薬」が治してくれるのを待つしかないと,のんびり1ヶ月後の外来予定日を待っていたことだろう。そうしたら,その間に私の僧帽弁は回復不能な程に細菌(表皮ブドウ球菌)に食い荒らされ,外科治療が不可避になっていたかも知れない。焦ると失敗することが普通だと思うが,今回,生まれて初めて,焦ったことで得をした。
そんなわけで,ブラブラとゴロゴロの,ゴキゲンな理想生活を送っていた所,突然,心臓が,バッコン,バッコンとすごい打ち方をし始めた。「ん?何だ?」と思って,脈を測ってみると,なんと50bpmの徐脈になっているではないか。これまでは90~100bpmという多目の心拍数だった(ネット上の体験談で,術後1~2年はそういうこともあると聞いていたので,速めなのは気にしていなかった)のが,いきなり半減である。このまま減り続けたら止まってしまうのではないかと心配になる。深呼吸をしたり,しばらく横になってみたりしてしばらく様子を見てみるが,治る気配はない。ここで思い出したのが,術前に心房細動の発作が起こったときのために買って,全く使っていなかった,
OMRON HEALTHCARE 携帯心電計 HCG-801
である。これを取り出してきて,測ってみると,意外にも心拍数は100bpm近くあった。ただ波形を見てみると,下に示したように,強い拍動と弱い拍動が交互に出ていて,弱い拍動の方が脈として感じられなかったようだ。なので半分の50bpmと感じられたようだ。

そう言えば,退院間際にも,強い脈と弱い脈が交互に出る状態(交互脈)があったが(→
10/15の日記),あのときは,弱い方の脈も自分で感じられたし,こんなに心臓がバッコンバッコン暴れているような感じもなかったが,きっとあれと同じタイプの不整脈なんだろうと(実際は違うようだが)この時は思った。
収まる気配のない,この不整脈を放っておいて良いものかどうか,思案に暮れているときに思い出したのが,退院時
「何かあったら電話して下さいね。」
という医師や看護師さんの優しい言葉だ。そうだ,とりあえず,日本海大学病院に電話して聞いてみよう。ということで電話をすると,いつものように日本海大学病院の受付は,呼び出し音が鳴る前に素速く電話に出る。受付の電話対応は素晴らしく感じが良い。事情を説明すると,この前まで入院していた内科病棟のナースステーションに繋いでくれた。しばらく待つと,師長が電話に出てくれる。
「かくかくしかじか,こういうわけなんですが,どうしたらよいでしょうか?」
と尋ねると
「しばらく様子を見て,治らないようだったら外来に来て下さい。」
とのこと。こんな回答,何も答えていないのと同じだ。そんなことは聞かなくったってわかる。
「何かあったら電話して下さい」
と親切そうに言っておきながら,いざ実際に電話をすれば,こんなおざなりな対応かよ,という思いで,ムッカー

と腹を立て電話を切ったのだが,その瞬間,ピタリと不整脈が止まった。どうやら気合いが入ったので,寝ぼけていた心臓の神経も覚醒してくれたようだ。不整脈は精神の影響を受けやすいので,少々なら気合いで治せるか?
携帯心電図計の測定結果を,次回の仁田先生の外来(11/27)にときに持って行って聞いてみると,「
心室期外収縮の二段脈」というタイプの不整脈で,特に心配はないタイプの不整脈とのことだった。そう言えば,手術後数日間,心臓がやけに強く打っている感じがして,二段脈と言われたが,あれと同じなのだろうか?(二段脈には心室期外収縮と上室期外収縮がある) 初めて携帯心電図計が役に立った。
↑↑↑ランキング参加中です。清き一クリックをお願いします。