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発作性心房細動の発症を機に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)が見つかり,弁形成手術と心房細動に対するメイズ手術(ラディアル手術)を受け,さらに術後に発症した感染性心内膜炎の治療を受けた記録です。

心房細動患者の脳卒中を防ぐワーファリンに代わる新薬

心房細動患者の脳卒中発症を抑制する商品名「プラザキサ(R)」(一般名:ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)という新薬が日本で承認されたそうです。
http://www.qlife.jp/square/news/story17998.html

血栓を作る中心的酵素であるトロンビンを阻害する働きがあるそうです。

ワーファリンよりも梗塞リスク,出血リスクともに下げ,ワーファリンのように定期的に細かく服用量を調節をする必要もなく,食物の影響を受けない(納豆もOKということか?)とのことなので,いいことずくめのような。

ただ適応は,非弁膜症心房細動患者だそうです。
ワーファリンよりも血栓を作らせない働きが強いなら,弁膜症手術後の患者や,弁膜症を原因とする心房細動患者にも使えそうな気がしますが,なぜダメなんでしょう?


追記:2011年6月26日

その後,ブラザキサ(ダビガトランエテキシラート)には,重篤な副作用が報告されて,製薬会社から注意が喚起されている。(2011年6月20日付)

腎障害を有する高齢の患者において重篤な出血性の副作用が3例(死亡1例,意識不明1例,軽快1例)報告されたそうだ。3例とも80歳台の高齢者のようだ。


追記:2011年8月15日

その後,プラザキサの副作用が原因と疑われる死亡例が,8月11日までにさらに4件報告され,合計5件となったそうだ。(厚労省による注意喚起)5件のうち,70歳代1名,80歳以上4名。性別は,男性1名,女性4名。腎不全の患者が1名。

他に76件の重い出血例も報告されているという。

すでに,推定6万4千人がこの薬を使っているそうだが,厚労省は今後は投与に当たって,腎機能検査を行うよう指導したそうだ。腎臓の機能が低下していると、排せつされずに血液中の濃度が高まり、出血した場合に血が止まりにくくなるらしい。

患者の側にも,鼻血,歯茎,皮下,尿,便などに出血が見られた場合には,速やかに医師に報告することが求められるとのこと。

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終わりに ~ ハートのペースが出てきましたよ

2011年1月22日(土) 手術後1年半

 過去にさかのぼって日記形式で書いてきた心臓弁膜症手術及び術後感染性心内膜炎治療の体験記ですが,やっと現在に追いついた所で一区切り付けたいと思います。
 前書きで「ダラダラと書き散らかす」つもりである旨はお断りしておきましたが,まさか自分でもここまで無駄に長ったらしくなるとは思ってもいませんでした。せいぜい1~2ヶ月で書き終わるだろうと思って無計画に書き始めましたが,生来の筆無精に多忙が重なって,更新ペースがあきれる程遅くなり,まさかの1年がかりになってしまいました。読み手の都合を一切考えない独りよがりの体験談垂れ流しで,「同じ病気でこれから手術を受ける方の参考になれば」という当初の目的にそぐわないものになってしまっていることは途中で気付いていたのですが,簡潔にまとめられ,多くの読み手にとって有益な体験ブログは他にも沢山あるので,「ま,いっか」とそのままダラダラ書いてしまいました。

 現在の体調は相変わらず絶好調で何の問題もありません。前回の日記(2010/3/26)の後,6月と11月に日本海大学病院の外来に通い,次回は11月から半年置いた5月の予定です。医師からも完治のお墨付きを頂き,スポーツを含め行動には何の制約もありません。と言っても,散歩以上の運動はしておりませんが。

 弁形成術を受けて実感したのは,生活に何の制約も受けないことの快適さです。ワーファリンを飲まなくてよいというのも,飲んでいる頃は特にそれを負担には感じていなかったのですが,飲まなくなってから,飲まなくてよい開放感を強く感じるようになりました。術前は,人工弁に置換しなければならないとしたら迷うことなく機械弁,と思っていました。生体弁の再手術必至という欠点は,機械弁のワーファリンが生涯必要という欠点よりはるかに大きいと感じていたからです。しかし今,その選択を迫られたら,かなり迷うと思います。

 心拍数は退院後もしばらくは安静時80~90bpmほどあったのですが,心臓手術の先輩方の体験談通り,徐々に術前のペースに戻りつつあり,現在は最も低い時で70bpmです(朝起き抜けの蒲団の中で)。術前は60bpmでしたから,これでもまだ若干速いのですが,だからといって何の支障もありません。微熱も当然ありません。

 不整脈もこれまでに書いてきた通り,術後半年くらいまでは交互脈,心室期外収縮二段脈,上室期外収縮二段脈と色々と出ましたが,現在は全く出ません。それどころか,今回の病気とは関係なく,高校時代から持っていたウエンケバッハ型の2度房室ブロックさえ消えてしまいました。この不整脈は安静時に出てくるタイプのものなので,今まだ完全に心臓が落ち着いていないために出てこないのかもしれません。あるいはasynergyが治ってしまったことと関係があるのかもしれません。ラディアル手術とは関係ないはずです。(2度房室ブロックとは,洞結節からの拍動信号が心室に伝わるときに遅れが生じるために生じるものである一方,ラディアル手術はその伝達の遅延をむしろ促進する方に働くはずなので)

 手術創(傷跡)の現在までの変化の様子を下に示します

手術前
創 術前

術後9日目
創 術後9日

術後1ヶ月
創 術後1ヶ月

術後半年
創 術後半年

術後1年
創 術後1年

術後1年半
創 術後1年半

こうして見ると,傷跡の変化よりも体型の変化の方が顕著のような気がしますが,体重は2回の入院を通して10kg減り,退院後13kg増えました。ドレーン跡のお腹の三つ星は,真ん中の皮下ドレーン跡は現在消えかかっています。両脇の心臓へのドレーン跡も,中心部分から白くなってきています。
 多くの先輩方がやっていたように,術後の傷跡がケロイド状にならないよう,皮膚科に行ってステロイド剤の塗り薬を貰ってこようと術前には思っていたのですが,感染性心内膜炎の感染でそれどころではなくなってしまいましたので,何も塗っていません。ただ,入院中に薬疹用に処方されたアンテベートというステロイド剤がほとんど使わずに残っていましたので,術後1年程が経った昨年の夏頃,気まぐれに一度,塗ってみたことがあります。するとたったの1回で驚く程白くなったような気がしました。そこで数日続けてみると,傷跡の脇の所の皮膚が,ちょうど子供の頃によくできた「はたけ」のように白く色抜けして見える程になりました。「これは,いい!」と思って,1週間程続けてみたところ,傷跡のすぐ脇の皮膚にプツプツとした湿疹のようなものが出来てきましたので,即使用を止めました。そうするとプツプツもやがて消えました。それ以来,何もつけていません。

 最後に再発のリスクについて書いておきます。僧帽弁形成術を受けた(これから受ける)人の最大の関心事のひとつは,「形成した弁はどのくらいもつのか?」「逆流再発のリスクは?」という点にあるのではないかと思います。このブログにたどり着いた方々の検索語としても再逆流関連の語が少なくないありません。この件に関しては以前,カムバックハートさんのブログのコメント欄や「たけしの部屋」の掲示板に書き込んだことがありますが,関心のある方が多いと思いますので,ここにもう一度書いておきます。不吉なことは目にしたくないという方は読まない方が良いかもしれません。

「弁膜症を解く(2007年)」の291頁を一部引用します。


・僧帽弁形成術後の再手術率は僧帽弁置換術のそれとほぼ同等であり,10年で7~10%と報告されている。

・後尖病変は前尖病変や前後両尖病変に比し再手術率は低い。Davidらの報告によると,変成性僧帽弁逆流815例中701例(86%)に僧帽弁形成術が行われた。病変部位は後尖359例,前尖92例,前後尖250例で,前尖病変に対しては主に人口腱索が用いられた。12年の経過観察で生存率は75%であった。再手術回避率は後尖96%,前尖88%,前後尖94%(中略),中等度以上の逆流回避率は後尖80%,前尖65%,前後尖67%で,前尖,前後尖病変が危険因子であった


逆流が再発しても再手術をしない人もいますので,当然,逆流回避率よりも再手術回避率の方が数字は高く出ます。

また,「手術を究めるII 弁膜症の外科/冠動脈の外科 (2009年)」の73頁に,半蔵門循環器クリニック院長で,僧帽弁形成術の専門家,加瀬川医師の個人成績が書かれています。


1991年7月から2006年12月の間に,筆者(加瀬川医師)が榊原記念病院で行った僧帽弁逸脱(Type II)によるMR(僧帽弁閉鎖不全症)に対する弁形成517例(平均年齢56.3歳)について,遠隔期エコー評価の結果を2008年に報告した。517例のうち半数以上の278例が前尖逸脱(両尖逸脱例も含む)であった。手術後30日以内の早期死亡は3例(死亡率0.57%),手術後5年,10年,14年で高度のMR回避率はそれぞれ,94.2%,82.8%,77.5%,後尖逸脱のみの場合は14年で98.4%ときわめて良好であった。前後尖逸脱については,手術中に経食道エコーで逆流が0であったものは,術後12年のMR回避率95.3%と良好であることがわかっており,さまざまな手技の改善と術中評価の厳格化によって,結果の改善が得られている。


手術法も進化して,結果の改善も得られているそうなので,この数値はまだ上昇するかもしれません。術者による差も大きい手術だそうなので,全体の平均を表しているわけではありません。

 感染性心内膜炎に罹る確率については,情報源によって値がバラバラでよく分かりませんでした。例えば,「病気のはなし」というサイトには,


感染性心内膜炎は10万人に5人位の割合で発生します


と書いてありますが,「弁膜症サイト」には


全弁膜症患者のうち感染性心内膜炎を発症するケースは、100万人に1~2人


とあります。「病気のはなし」の方は全人口に対する割合を言っているようで,「弁膜症サイト」の方は弁膜症患者に対する割合を言っているようですが,弁膜症患者の方が罹患率が低いということは有り得ないはずなので,前者が一生涯にわたっての発症率,後者が年間の発症率ということでしょうか? 仮にそうだと仮定して,後者の発生率におよその平均寿命として70を掛けると10万人に7~14人となるので,辻褄は合うのですが,一般の人との発症率の差が小さすぎるような気もします。

 また,術後感染性心内膜炎については,「弁膜症を解く」324頁に


人工弁置換術後(の感染性心内膜炎)例は(中略),以前の報告では術後1年以内の発生率は3.1%,術後5年間での累積発生率は5.7%であるが,最近の報告では1年以内1%,5年間で2~3%とされている。


とあります。また。弁形成で済んだ場合でも,「弁膜症を解く」の106頁によれば


弁置換のみならず弁形成術後も感染性心内膜炎のリスクは高く,・・・


だそうです。具体的にそのリスクが何%くらいなのかまでは書いていないのですが。そのため,同107頁には


弁膜症術後症例では,3日以上の原因不明の発熱が生じたときは,常に感染性心内膜炎の可能性を考えなければならない。


とあります。特に,同327頁に


手術時に感染しても,抗生剤投与によって感染所見がマスクされ,発見が遅れることも少なくない


そうなので,注意が必要です。ただ,感染性心内膜炎に罹患することは,確率としては低いものです。過度に心配する必要はないと思いますが,そういう病気が存在するということぐらいは,弁膜症の手術を受ける際に頭の片隅に入れておいた方が良いのではないでしょうか。
 私の経験から言えば,同じ微熱であっても,辛い微熱と辛くない微熱があり,辛い微熱の場合は気を付けた方がいいように思います。

 といった所で,私の体験記をひとまず終えたいと思います。何か変わったことがあれば,日記を追加していくかも知れません。また,今回手を付けなかった大動脈弁の多少の逆流の件もありますし,僧帽弁の逆流再発の可能性もありますので,将来,体験記第2章が始まるかも知れませんが,私としては第2章を書かずに済むことを願っています。

 今後当面はこのブログを心臓関連の知識の私的備忘録として使っていこうと思っています。

 ここまで拙文を読んで下さった方,どうもありがとうございました。

(終)

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