2012年7月13日(金)
日本海大学病院で,1年ぶりの検査&診察を受けてきた。この1年,おかげさまで心臓に関しては全く問題なく過ごせている。食事も塩分なども全く気にせず好きなものを好きなだけ食べている。おかげで,血糖値が上がりだしてしまった。心臓に関係ないところでは,老化に伴い,着実に体はボロくなっていっている。去年の8月5日の日記に,「心拍数が術前より少し多目なのが,実害はないにせよなんか悔しい」と書いたが,最近,その心拍数も術前と同じになってきたようだ。
検査は,レントゲンと心電図と経胸壁心エコー。血液検査は今回もなし。普段は,自分が心臓手術を受けた身であることなどすっかり忘れているが,エコー検査を受けるときだけ,「再逆流が始まっていたらどうしよう」と少しだけ不安になる。
エコー検査を受けるとき,必ず左(心臓側)を下にして横向きの姿勢をとらされるが,なぜなのか不思議に思っていたので,この理由を検査技師の方に聞いてみた。肺と心臓の位置関係のためだそうだ。エコーの超音波は,液体の部分を伝わり,肺のような空気の部分を伝わりにくいので,肺が邪魔になるそうだ。確かに「息を吸って-,吐いて-」とやっているとき,息を吐いて肺が小さくなるにしたがって,エコーの画像が鮮明になっていく。右を下にすると,肺が心臓に覆い被さって見えにくくなるのだそうだ。
仁田先生の診察を受けると,相変わらず私の弁は厚くて細菌感染しているようにも見えるが,3年何ともないのだからそんな可能性はないとのこと。

また,弁にひも見たいのがピロピロと付いているのがエコーの動画に移っているが,人工腱索が写っているのだろうとのこと。また,手術をした僧帽弁の方は全く問題ないが,今回,手をつけなかった大動脈弁の逆流が少し気になるとの事だった。ただ,心機能自体は問題ないので,今すぐ何か手を打つ程ではないとのこと。去年やったエコー検査の報告書のコピーを頂けるようお願いすると(電子カルテ化によって検査当日に診察を受けられるようになったが,その代わり,去年は診察を受ける段階ではまだ報告書ができあがっていなかったため),今年の分も暫定版を頂けた。後で見てみると次のような感じだった。値は左から順番に,2009年2月12日(術前),2009年5月14日(術前),2010年2月26日(術後),2011年8月5日,今回2012年7月13日である。残念なことに術直後には一旦消えたasynergy(心臓の収縮の仕方の歪み)が去年から復活していた。EFの値はTeichholz法による評価でその右に示した値がSingle plane: 2ch法による評価である。asynergyがある場合にはTeichholz法による心臓の容量の評価の信頼性が低く,Single plane: 2ch法の方が適しているようだ。以前はこの「Single plane: 2ch」の2chの部分が,手書きで書かれていたため判別できず,これまでの日記では「Single plane何とか法」とよんできたが,電子カルテのおかげで今回初めて正式名称がわかった。
IVST[mm] (心室中隔壁厚) 9→9→6→7→7 {6~11}
PWT[mm] (左室後壁厚) 8→9→6→7→8 {6~11}
AoD[mm] (大動脈径) 35→32→28→31→32 {20~37}
LAD[mm] (左房径) 38→39→28→31→27 {19~40}
LVDd[mm] (左室拡張末期径) 61→61→50→54→55 {40~55}
LVDs[mm] (左室収縮末期径) 37→34→30→34→34
EF[%] (左室駆出率) 68(48)→74(59)→69→66→67(54)
CO[リットル/分] (心拍出量) 5.5→3.6→8.5→5.2→5.3
A/E(左房収縮による左室への血液の流入/左室拡張による左室への血液流入) 0.65→0.82→0.78→0.36→0.34
TR max velocity[m/s] (三尖弁逆流ジェットの速度) 2.31→2.66→1.95→2.7→1.6
ΔPIT?[mmHg](意味不明) 21→28→15
ASYNERGY 有→有→無→有→有
あれ,術後1回目の検査時に比べると,数値が悪化気味か? 今回の暫定版の報告書の所見にも「Mildly reduced LV systolic function」(左室の収縮機能が少し落ちている)とある。確かにEFをSingle plane 2ch法で評価すると54%なので,術前と同じくらい悪い。まあでも,仁田先生が大丈夫と言っているのだから,気にしないでおこう。でも,心臓の収縮というのはいつも同じなのだろうか?今日のようにクソ蒸し暑い日には,私などはグターッとなってしまって何もやる気がしなくなるが,心臓さんがやる気をなくすということはないのだろうか?
診察時の雑談にも出たのだが,三笠宮崇仁親王が僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術を受けられた。90歳頃に見つかって,96歳で手術となったわけだが,高齢を理由に皇室医務主管は手術には慎重な姿勢だったのを,親王妃の強い希望で手術が実現したようだ(
産経新聞)。最近は相当な高齢者でも心臓の開胸手術を受ける例が散見されているが,それでも96歳というのは驚きだ。検索してみると,名古屋徳洲会総合病院で大橋壮樹医師が過去に96歳の男性に弁膜症手術を成功させており,これが「弁膜症の手術では世界最高齢になるかも」とあるので(
名古屋徳洲会総合病院),最高齢に近いことは間違いないだろう。高齢にもかかわらず,手術時間が短くて済む弁置換ではなくて弁形成を選択したということは,術後の感染症へのリスクを下げるためであろうか?
ただ私が驚いたのは,患者さんの年齢もさることながら,執刀医の川副浩平聖路加国際病院心血管センター長の66歳という年齢である。なんとなく,心臓外科医というのは,60歳を過ぎたらメスを置くのかと思っていたのだが,最近は年齢的限界があがってきているようだ。天皇陛下の手術で一躍脚光を浴びた天野篤順天堂大学教授も新聞社の
インタビューで次のように答えている:
ーーー 引用始め ーーー
――平成3年4月から新東京病院(千葉県松戸市)に勤務されていますが、これは後にバチスタ手術(心臓縮小手術)で一躍有名になる須磨久善先生に呼ばれるのですね
天野 はい。当時、東京の三井記念病院のサテライト病院として新東京病院に心臓血管外科が開設され、須磨さんが僕より5歳年上で、初代部長でした。須磨さんはもう手術をしない。
――今後、何歳まで現役の心臓外科医として手術しますか
天野 むかしは
55歳が限界といわれましたが、医療器具が発達して外科医年齢が上がっている。これからはデジタル画像を手掛かりに手術するようになるかもしれないから限界も上がるでしょう。
ーーー 引用終 ーーー
この記事を見た後でも,55歳限界が60歳限界に伸びたくらいかと思っていたのだが,65歳もそう珍しくはないようだ。仁田先生自身も65歳までやるとおっしゃっていた。
今日は,なぜか比較的空いており,会計までひっくるめて2時間半くらいで全て終わってしまった。時間が余ったので,一度行ってみようと思っていた有名なラーメン屋,哲に向かったが,あまりの暑さで歩いている途中でいやになり,目に付いた「いっとく」というラーメン屋に入ってみた。つけ麺一杯が920円というぼったくり価格だったが,味は大満足。ただ,ツルツルした麺を塗り箸で食べるのは食べにくい。
最後に手術の傷跡の変化を載せておく。
術後1年

術後2年

術後3年

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